
<碑文> 東山魁夷「安曇野を想う」
五月の若緑に蔽われた安曇野は なんと美しかったことか
上高地から流れ出る梓川が高瀬川と合流し犀川となって北に流れる
平野の上に高く連なる北アルプスの山々
常念、東天井、燕と長峰山の上で案内人の指し示す残雪の嶺々を
仰ぎながら飽かず眺めたひとときが忘れられない
秋も過ぎ冬が来ると、
その辺りは一面の銀白色。
丈高い枯れ葉と可憐な野草が、
じっと春の到来を待っている。
1970年5月、旧穂高町の招聘を受けたノーベル賞作家・川端康成は、作家・井上靖、画家・東山魁夷を誘い、春の安曇野を1泊2日で訪れました。それぞれ夫人同伴で、長峰山から残雪の北アルプスと新緑の安曇野を一望にし、その雄大な眺めを堪能し、わさび畑、穂高神社、碌山美術館、松尾寺、小岩岳城址などを巡りました。この旅で東山魁夷が作品を描いた形跡はありません。
山頂の碑は、1995年、明科町制施行四十周年にあたり、建てられたものです。